宇宙の研究をできる学科 天文学科以外にもあるのです!

宇宙のこととなると「天文学」というイメージがあります。

天文学は、天体や天文現象など地球の外で起こる自然現象を観測したり、法則の発見を行ったりする学問です。

実際に大学で宇宙・天文に関することを学ぶことができるのは、「天文学」だけでしょうか?

ここでは、宇宙・天文について学びたいと考えている君に、宇宙・天文を学ぶにはどこの大学に進学したらよいかについてお話ししますね。

 

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天文学は天文学科でないと学べない?!

小中学校の理科で月や星のところを行うと、分類で「天文」とでるので、なおさら

 

宇宙 = 天文学

 

というイメージが強いのかもしれません。

ところで、天文学科およびそれに類似する名称を持っている学科を設置している日本の大学は、東京大学と東北大学だけです(あくまで名称だけのお話しです)。

 

宇宙の研究をできる=(理学部)天文学科

 

とすると、東京大学と東北大学しかありません。

 

しかし、学科名としては設置していなくても、宇宙のことを学ぶことができ、そして研究できる大学はたくさんあります。

そこでは宇宙のことを研究している先生がいるだけでなく、講義があって、ゼミで研究室に入り宇宙のことを研究できます。

 

天文学科でないところでも研究ができるのです!

例えば、神戸大学には理学部惑星学科という学科があります。この学科は、地球の中心から太陽系の果てまでの現象を連続的に取り扱っています。

2016年9月に神戸大学でこんなニュースが発表されました。

 

「ケンタウルス族小天体のリングの起源を解明」

 

論文の筆頭者は、神戸大学大学院理学研究科惑星学専攻の大学院生・兵頭龍樹さん(当時)です。

 

この論文のスタート地点は、2014年にケンタウルス族の小天体の一つである「カリクロ」にリングが見つかったことから始まります。

このリングを持つ小天体は、主に土星と海王星の軌道の間を回る天体です。このような軌道を取る小天体のグループをケンタウルス族と言います。

 

直径12,700kmもある地球にはリング(輪)がないのに、直径が地球のわずか2%(直径258km)ほどの小天体:カリクロに土星と同じようなリング(輪)があるのです!

リングがあるのは「カリクロ」だけではありません。同じケンタウルス族である「キロン」にもリングがあるらしいことが明らかになってきました。

(ちなみに「キロン」は1989年に彗星に見られるようなコマが観測されています。)

土星や木星のような巨大な惑星のみがリングを持っているという話は過去の話です。でも、不公平ですよね・・・。

 

 

小天体もリングがあるのですから地球にもリングがあってもおかしくないのですが、残念ながらありません。

どうして地球にはないリングがケンタウルス族の小天体にあるのでしょうか?

 

2014年にケンタウルス族の小天体にリングがあることが発見されてから、謎でした。そして、この謎をコンピューター・シミュレーションを使って明らかにしたが、先のニュースなのです。

 

論文ではいくつかの前提を調べた上で、次のような結論を出しています。

 

シミュレーション内容:
小天体が巨大惑星(木星、土星、天王星、海王星)の十分近くを通過する際の惑星からの潮汐力を受けて破壊する過程

リングを持ちうる小天体の条件:
小天体構造は、内側に岩石の核を持ち、外側を氷のマントルが覆う層構造

結論:
多くの場合で惑星からの潮汐力により部分的に破壊され、その破片がケンタウルス族天体の周囲を周回するようになり、リングや衛星を形成しうる。

考察:
結論は、リングや衛星を持つケンタウルス族の天体が他にも存在することを強く示唆している。

 

神戸大学には、理学部に大学の惑星学科と大学院の惑星学専攻があります

。惑星学と言うとあまりなじみがないかもしれませんが、火山や大陸形成、大気循環、地磁気、地震、海洋地形といった地球で観測できる内容から、論文のようなリングの進化や惑星や小天体の起源進化の理論研究を行っています。

火山は地球のことで、リングは太陽系のことで別物と考えがちです。下を見るか上を見るかは全く違った印象を受けますよね。

左右対称とは言いますが、上下対称とは言わないことからも推測できると思います。

 

しかし、よく考えると地球も立派な太陽系の一員です。

そう考えると、惑星の一つである地球を研究することは、太陽系を研究することと同義であることが分かると思います。

 

太陽系の惑星や衛星で起こっていることを理解するのに一番研究しやすい地球を無視するのは、もったいない話です。

水もカチンカチンに凍っている環境にあるはずの木星付近。

その衛星イオは、惑星探査機ボイジャーによって「熱い」火山が噴火していることが分かりました。

たまたまそのときに噴火したのではなく、今でも熱い火山が絶えず噴火しています。

イオは地球の衛星である月と同じくらいの大きさです。月には噴火している火山はありません。月のことを考えると、イオも冷えている衛星だと思うのも無理ありません。

 

イオが熱い理由は、木星や他の衛星による潮汐力が原因だと考えられています。

熱い理由は地球とは違いますが、イオの火山を理解するのに参考にできるのは地球の火山です。

地球の火山を見ることで、イオの火山で何が起こっているかを推測することができるのです。

 

まとめ

宇宙は上だけじゃなく、下にもあるということに気づいていただけたらと思います。

宇宙を学ぶことができ、研究できる学部は理学部ですが、天文学という名前でなくても宇宙のことを研究できるのです。

宇宙のことを学ぶことのでき、研究できるのは理学部天文学科だけではないということを知っておいてくださいね。

 

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