アストロ部では、高校理科の選択科目として「物理」を選択するように薦めています。
宇宙で起こる多くの現象が、物理現象であるため、宇宙のことを学ぶ際にも多くの物理の項目が出てくるからです。
しかし、高校物理の選択科目は1科目だけではありません。
二つ目の選択としては、「化学」をおすすめします。
天文分野は地学なのですが、残念ながら理系コースで地学を選択できる学校はごくわずかだからです。
化学と物理は共通点もありますので、学習する上ではよい予習・復習になるかと思います。
けれども、化学を選択したけれども、教科書を読んでもよくわからないことがでてきてしまった・・・。
そんなときに読む、参考書を紹介いたします。
化学の3大分類
高校化学は大きく分けると3つに分けることができます。
- 理論化学
- 無機化学
- 有機化学
教科書の順番の上の順番の通りに並んでいます。
理論化学は高校化学の基本とも言えるないようで、主に
- 化学結合
- 原子量と分子量・式量
- 酸と塩基
- 酸化と還元
- 電池
- 電気分解
- 化学反応と熱
- 結晶格子
- 気体
- 溶解度
といった内容を学びます
理論化学では覚えることも多いのですが、計算も結構あります。
それに対し、無機化学では元素、単体および無機化合物の性質について、有機化学では有機化合物の製法、構造、用途、性質について、勉強します。
有機化合物は、特に炭素結合が安定している構造が多いことから、炭素を含んだ化合物が多いのが特徴です。
化学と宇宙の密接な関係
宇宙空間は真空でほとんど分子がないとされています。
そのため、宇宙空間では複雑な分子が作れないと思いがちです。
しかし、宇宙を電波望遠鏡で観測すると、驚くほど多様な分子が存在することがわかります。
中にはものすごく複雑な分子も発見されているぐらいです。
分子間の密度が地球に比べて少ないだけで、宇宙空間に何もない真空というわけではないのです。
ただ、地球上に比べて圧倒的に分子の密度が低いため、地球上で反応を調べたときには観測しにくい分子も観測されることもあるのです。
実は物質の化学反応は、必ず1通りというわけではありません。
ある確率でいくつかの別の化学反応を起こす場合があるのです。
ただし、高校化学で学習するような化学反応の確率が圧倒的に多いため、地球上の実験ではレアな反応を見るのが非常に難しいのです。
これは不安定な分子で、すぐに他の分子と反応して別の分子に変わってしまうからです。
しかし、宇宙空間は分子同士が出会う場所が限られています。
分子がまれにしか出会わないような場所では、地球上で見るのが難しい分子も見ることができるのです。
2018年現在、多くの系外惑星が発見されています。
中には地球に似た環境を持っているのではないかと思われる惑星も発見されています。
もしかしたら、地球以外にも生命がいるのではないかという期待が高まりつつあります。
けれども、太陽系以外の惑星に探査機を飛ばして調査するのには無理があります。
そのため、間接的な手段を用いて生命の存在の可能性を探ることになります。
このときに活躍するのが、どのような分子が存在するかということを観測するのです。
分子は種類により放つ周波数が異なります。
その周波数領域を観測することによって、どのような分子があるかを知ることができ、さらに受信した電波強度から分子が多く存在しているかどうかがわかります。
一酸化炭素やアンモニアといった簡単な構造のものから、酢酸、ベンゼン、ナフタレンといった8原子分子以上のものも見つかっています。
こういった分子のことや、どのようにして生成されるのかを知っておくことは、宇宙の勉強をする上でも有効なのです。
しかし、高校化学では宇宙との関連はでてきません。
そのため、あまり関係なさそうに見える科目です。
宇宙の観測では、(特に星間雲関連では)無機化学や有機化学に出てくるような分子が観測されますので、一通り学んでおくと、後の宇宙の勉強での理解度が変わってきます。
一見関係なさそうに見える科目なので、流してしまいがちですが、しっかりと学んでおきたい科目の一つです。
教科書が難しいくて理解できないと思った時に読む参考書
教科書はある程度のページ数に、決められた内容を全て記述しなければなりません。
そのため、ある程度説明を簡略化している部分もあります。
この簡略化している部分がつまづきやすい部分でもあります。
このように、教科書を読んでもわからないときに読むのにおすすめな参考書が宇宙一わかりやすい高校化学シリーズ
- 理論化学
- 無機化学
- 有機化学
の3分冊です。
2023年に新課程版が出版されました。
目立った変更点は、周期表に新元素が追加されたこと、「希ガス」の表記が「貴ガス」に変更されたこと、一部章立てが変わったことです。
ただ、全体のページ数に変更がないことから、内容に大きな変更は見られないものと思います。
旧課程版は以下の書籍です。
左ページに説明があり、右ページに計算式や図や絵、化学反応式といったイメージが書かれています。
文字以外の情報が豊富であるので、イメージ化しやすく、頭の中に残りやすく、構成されています。
もちろん、説明のページも教科書以上に詳しく書いていますので、教科書ではわからなかったことも理解できるかと思います。
ただ、カラーではないので、実際にどんな色をしているのかを見るには、学校の副教材で使われている便覧などのカラー冊子を参照します。
入試では難しい問題も出題されますが、難しい問題を解くためにも基本的な内容の理解は必要不可欠です。
しかし、難しい問題はあくまで教科書の内容が理解できてから解くもの。
まずは教科書レベルの理解を完璧にします。
とはいえ、教科書は必ずしもわかりやすいとは限りません。
教科書で理解できない部分が出てきたら、宇宙一わかりやすい高校化学シリーズで該当部分を学習するといいですよ。