宇宙の新発見は減っていく? 今も出てくるその理由とは?

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近年、宇宙の発見はすさまじい。

重力波によってブラックホール同士が合体することで成長することが観測されたり、地球にしかないと思われていた液体の水が、水がカチンコチンに凍る土星の衛星で液体の水が地下にある証拠が発見されました。

次々と宇宙の謎が解明されています。

 

このまま進むと

あっという間に宇宙の謎がなくなってしまって

研究材料がなくなってしまうのでは?

 

心配しないでください。一つのことが分かったと思ったら、また新たな謎が生まれるのです。

 

 

重力波の観測によって、ブラックホール同士の合体によって、ブラックホールが成長するという事実がわかりました。そして、大々的なニュースになりました。

報道内容をみると、わかったのはブラックホール同士が合体して重力波を放出し、成長するという事実のみ。

そのため、ブラックホール同士の合体は

 

  • どのくらいの頻度で起こるのか?
  • 合体の起こりやすい場所はあるのか?
  • どのくらいの大きさの合体が多いのか?
  • 重力波によって失われるエネルギーは何かの規則があるか?
  • ブラックホール同士の合体でどのくらいの大きさまで成長できるのか?

 

などは全く分かっていません。

そもそも2017年時点では、ざっくりとした位置でブラックホール同士が合体したという情報しか拾えていないのです。

これは重力波望遠鏡の位置精度が悪いため、位置を正確に決めることができないのです。

今後、日本の重力波望遠鏡KAGRAの本格稼働で望遠鏡の数も増えますので、研究が進むでしょう。

 

 

さらに重力波に関してはどんな天体現象と関係しているのかも分かっていないのです。

重力波の波形からブラックホール同士の合体であるということは分かります。しかし、2つのブラックホール同士が何事もなかったかのようにくっついたのか、どんな天体現象が重力波を発生させたのか(重力波発生のメカニズム)まではわかりません。

これを調べるためには、重力波源の特定と、複数領域(電磁波やニュートリノ)の観測が不可欠です。

この重力波対応現象を探索するために、日本では重力波追跡観測網J-GEMが結成されています。

メンバーの所属する大学は、

  • 広島大学
  • 京都大学
  • 東京大学
  • 国立天文台
  • 名古屋大学
  • 東京工業大学
  • 甲南大学
  • 鹿児島大学
  • 山口大学
  • 兵庫県立大学

です。

 

 

なお、重力波が検出されたら他の領域でも観測するという協定は既にあったのですが、重力波を初めて検出したのは重力波望遠鏡LIGOの定常運転開始の4日前。本格稼働前だったのですが、J-GEMでも観測可能な限り探したのですが、他に見つけることができなかったとのことでした。

重力波発見のニュースに隠れていますが、日本の研究者も重力波現象に関する観測に協力していたのです。

 

 

また、太陽系以外にも多くの恒星で惑星が発見されています。惑星の存在は、太陽系だけでないことがわかりました。

しかし、これらの惑星はどのようにしてできたのでしょうか?

太陽系に限っても Cameronモデル(巨大惑星のdirect formationモデル)と京都(林)モデル(core-accretionモデル)という二つのモデルが存在していて、決着がついていないのです。

どちらもある程度までは説明ができるのですが、完全に解明できたわけではありません。

 

 

日本で主流の京都(林)モデル(core-accretionモデル)では、定量的にまだ未解決の問題や次の未解決問題があります。

 

  • 星雲の質量問題
  • 微惑星形成問題
  • 惑星落下問題
  • 星雲ガスの散逸問題
  • 海王星問題

 

例えば海王星問題は、太陽系が形成されてから46億年たっても海王星が形成されないというものです。

このモデルでは、ケプラーの法則に従って運動することを想定しています。太陽から遠くなればなるほど、回転速度が遅くなるため、天体同士が衝突して成長するのに時間がかかるためです。

実際には海王星は存在していますので、何らかの形で海王星が形成されたことになります。しかも最近では海王星の外側にあるカイパーベルト付近にたくさんの小惑星が見つかっています。

このことから、何かのきっかけがあって惑星や小惑星が形成されたことがわかります。

 

 

モデル自体である程度は説明できるので、モデルそのものが間違っているとは考えにくいです。そのため、モデルに何かが抜けていると考えるのが適切です。

モデルに抜けているのは何かを探るのが、太陽系外惑星や原子惑星系円盤を直接観測して何が起こっているのかを調べ、より説明できるモデルを作ることが課題になっています。

 

 

シミュレーションを使ってモデルを作り、それが観測による現実の状態をうまく説明できるかどうかを検証したり、また逆に観測された事実から新たなモデルをシミュレーションで作ったりと、理論と観測は切っても切れない関係があることがわかります。

 

 

なお、本文中にでてきた惑星形成論について研究できる大学は

  • 東京工業大学
  • 北海道大学
  • 東北大学
  • 筑波大学
  • 東京大学
  • 大阪大学
  • 神戸大学(太陽系小天体起源等)
  • 九州大学

などで研究しています。

 

このように、一つの謎がわかっても、そのわかったことがきっかけで、さらなる疑問が生まれてくるのです。情報に埋もれてしまいそうですが、どんどん分からないことが見えてくるのです。