アストロ部では、宇宙(理学・工学とも)を学ぶのに高校物理は必須と考えています。
高校の授業で物理を学習するため、受験で物理を利用することは、理にかなっています。
物理は、他の教科に比べて暗記が少ない教科です。
物理現象の内容を理解し、問題を解くことができれば、満点を狙うことができる教科です。
しかし、高校物理の問題集は、いくつかの出版社からさまざまなレベルの問題集が出版されています。
加えて、学校でも副教材として配られる問題集もあります。
しかし、勉強で大切なのは、自分のレベルにあった問題集で学習することです。
自分のレベルに合っていない問題集で学習しても、なかなか成果が出ません。
時には学習しても成績が落ちるという事態が発生することもあります。
そこで、ここでは学力別に学習する問題集を紹介します。
物理の問題集を選ぶ上での注意点
物理の問題集は、予備校の先生が書いてあることが多く、それぞれの特色が色濃く出ています。
そのため、問題の構成・解説などが合う・合わないがでてきます。
特に顕著なのが、解答や解説で微分・積分を使うかどうかという部分です。
大学物理のテキストを見ると、物理法則は微分・積分を使って解説していますし、数IIIでも微分・積分(微分方程式)のあたりで、出てきます。
このことから、大学で学習するころには、物理の問題は微分・積分(微分方程式)を使って解けるようになっておくことが必要であることがわかります。
しかし、だからといって、高校生の最初の問題集で微分・積分(微分方程式)を使って解く参考書がいいかと言われると、必ずしも「Yes」ではありません。
特に問題なのが、カリキュラムです。
物理を選択する場合、高校1年or2年で物理基礎、高校2-3年で物理を学習するカリキュラムになっているかと思います(多くの場合、高校2年生)。
しかし、微分・積分は数学II、数学IIIで学習をする物理の学習を始めたときには、微分・積分を学習している学校は少ないのです。
かといって、微分・積分の学習が終わってから物理・・・となると、スタートがかなり遅くなってしまうという問題があります。
微分・積分を学習しているのあれば、物理の問題を微分・積分を使って解くのは問題ありません。
ただ、微分・積分をマスターしてからとなると、物理の学習全体が遅くなることから、物理の最初の学習としては、微分・積分の解説を必要最低限にとどめた解説をしている問題集がおすすめなのです。
(微分・積分を使って問題を解く場合、
- 積分範囲はどこからどこまでか
- 使用する関数が絶対値付きなのか、絶対値なしなのか
を明確しておかないと、違う答えを出してしまうことがありますので、注意して使ってくださいね。)
アストロ部おすすめの問題集
アストロ部おすすめの物理の問題集は、微分・積分を使った解説が最小限になっている問題集です。
易しい順に並べると、次の通りです。
- セミナー物理・リードα等の学校で指定されている、教科書の副教材
- 物理のエッセンス (河合塾シリーズ)
- 良問の風物理頻出・標準入試問題集 (河合塾シリーズ)
- 名問の森物理 (河合塾シリーズ)
- 難問題の系統とその解き方物理(ニュートンプレス)
です。
ただし、参考書を「漆原の物理」を利用している方もしくは物理のエッセンスの解法に合わない方は、
- セミナー物理・リードα等の学校で指定されている、教科書の副教材
- 漆原の物理(物理基礎・物理)明快解法講座
- 漆原の物理(物理基礎・物理)最強の99題
- 難問題の系統とその解き方物理(ニュートンプレス) or 難関大入試 漆原晃の 物理[物理基礎・物理]解法研究
と、漆原シリーズの問題集で学習するといいでしょう。
また、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)等で論文形式の物理の問題が出題される大学もあります。
その時に参考になる物理の問題集は、
- 思考力・判断力・表現力を養う実戦物理考察問題集
- 総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)の小論文 (理系編) (河合塾シリーズ)
です。
アストロ部で紹介している問題集の特徴
問題集は、なるべく微分・積分・微分方程式を使わない解説をしている問題集を選定しています(「難問題の系統とその解き方物理」は除く)。
大学に入ると、物理の公式は、微分・積分を使って解説されます。
大学で微分・積分を使った物理を学習するのだから、高校で微分・積分・微分方程式を使わずに物理の公式の解説等を行うのは一見非効率に思えます。
また、公式を覚えるのを楽にするためという理由や、解説が楽であるという理由で微分・積分・微分を使った解説をするところもあるという、うわさを耳にしたことがあります。
しかし、アストロ部では物理を微分・積分・微分方程式を使わずに学習することは非常に重要だと考えています。
なぜならば、近年大きな成果を見せているコンピューターシミュレーションでは、高校で学習する、微分・積分を使わずに解説している「増分」という考え方が非常に有効だからです。
一部の計算ソフトウエアでは、微分・積分の計算をブラックボックス化して計算できますが、必ずしもシミュレーションで使えるとは限りません。
自分でシミュレーションを行う場合には、「増分」を使って計算するしかないのです。
大学で学習する物理は、微分・積分・微分を使いますので、この「増分」で学習することはありません。
いざ、卒業研究や大学院での研究でシミュレーションを行おうと思ったときに、この「増分」の知識がないと、かなり苦戦することになります。
ですが、高校で一度しっかりと学習しておけば、例えしばらくの間忘れてしまっていても、ちょっと学習すれば思い出すことができます。
大学入試に合格することだけが目標ではなく、大学に入ってからもその学習が生かすことができるためにも、ある程度のレベルまでは、微分・積分・微分方程式を使わずに解説している問題集を選定いたしました。
ただし、「難問題の系統とその解き方物理(ニュートンプレス)」では、別解として積分を使っている箇所も存在します。
しかし、微分・積分を使わない解説も掲載されていますので、微分・積分・微分方程式は必須ではありません。
物理現象は、微分・積分(微分方程式)を使わなくても理解することができるものです。
まずは、微分・積分のテクニックだけに頼るだけでなく、教科書に出てくる物理現象を理解できるようにしましょう。
基本を学習するときの問題集
学校の副教材の問題集の使い方
最初に学校の副教材の使い方について解説します。
学校の副教材に収録されている問題集は、基礎レベルの問題から基本問題レベルまでが収録されていることが多いです。
中には「セミナー物理(第一学習社)」のように、後ろの方の問題では入試レベルの問題集も収録されていることがあります。
後ろの方の問題は、学習し始めた頃にいきなり入試問題レベルにチャレンジしても、歯が立たないのは当然の話です。
最初にやるべきことは、
基礎を固めること
です。
そこで、教科書の演習問題と同じレベルの問題から例題が掲載されている基本問題レベルまでを使って演習します。
- 具体的には、問題に書かれている状況でどういう現象が起こっているのかを簡単な絵を描く(物理現象をイメージしやすくするため)。
- 設問で何を答えるのかを見つける。
- そこで起こっている現象で使う物理法則を書く。
- 物理法則に対応した公式で、どの公式が使えるかを判断する。
- 計算して、答えを求める。
問題文の長さも短いですので、あまり多くの事象はありません。
入試問題もこのようなステップの積み重ねで解いていきますので、このステップは常に意識して問題を解くようにしてください。
問題も教科書の内容と変わらないレベルの問題から収録されていますので、比較的とっつきやすい問題集とも言えます。
一方、学校の副教材問題集に多くある問題点は、
- 問題の収録に力を入れているため、解説が詳しくない(特に市販のものは別冊解答がついていない)ものもある。
- 問題数が多いため、やりきれない可能性がある。
- 発展例題あたりから急に難しく感じる。
- 市販のものは別冊解答がついていない。
の4つです。
解説が詳しくないと、できた、できないというやり方で進めて行ってしまいがちです。
実は物理は問題数をこなせばできるようになるとは限らないのです。
そこに起こっている現象はどういうものかを理解して初めてわかったという感じになります。
問題のレベルにかかわらず、なぜどうしてを自問しながら進めて行くとよいでしょう。
問題数が多すぎて、問題をこなすことができない場合があります。
これは学校の先生に相談して、問題をチョイスしてもらいながら進めるといいですね。
先生に相談することによって、自分の足りないところを発見できるメリットがあります。
また、後半の問題は共通試験や入試問題レベルが収録されていることもありますが、紙面の都合からか解説が詳しく掲載されていない場合があります。
共通試験や入試問題レベルの問題の解説を読んでも分からない場合、学校の先生に質問するか、後述する物理のエッセンスに切り替えて問題を解くことをおすすめします。
もし学校で問題集を購入してない場合、別冊解答付のものを手に入れるためには、ヤフオクやメルカリといったオークションやフリマで落札するという方法があります。※注
※注 セミナー物理は「セミナー物理基礎」、「セミナー物理基礎+物理」、「セミナー物理」の3種類があります。学校にあわせた教科書の進め方に対応できるよう分けられているようです。ヤフオクやメルカリなどで落札するときには、3種類あることに注意してくださいね。また、 第一学習の「セミナー物理」3種は学習指導要領の改訂により内容が変わってくるので、出版年月日を必ず確認するようにしましょう。
学校の副教材問題集からレベルアップするときに使う問題集
物理の試験の得点分布を見ると、他の教科とは異なり、2つの山ができることが多いです。
これはできる人は高得点を取り、できない人は全く歯が立たないということを意味しています。
そこそこできる人が少ないのは、試験の出題の仕方に鍵があるからです。
試験では公式が出てこないと解ことはできません。
とはいえ、試験では公式を覚えたところで、問題が解けるとは限りません。
さらに、「時間内」にどの公式を使って解けばいいのかを判断しなければなりません。
高校物理の場合、問題に書かれている状況で何が起こっていて、最終的にどのようになるかを考えることで答えを求めます。
逆に、用語の暗記すれば答えられるといった問題は少ないのです。
そのため、なんとなく公式を使って解けたという状態だと、そのときの試験では得点できるかと思いますが、別の問題になると全く分からなかったということになってしまいます。
物理は理解ができれば、高得点を取りやすい教科です。
基本的な問題を通じて学習することで、物理現象を理解し、どの公式を用いて答えを導き出せるようになってきます。
基本的な問題が掲載されている問題集は
- セミナー物理(第一学習社)やリードα(数研出版)などの学校の副教材問題集
です。
また、レベルの高い問題と言われている問題は、基本的な問題の組み合わせを誘導問題なしに解けるかにかかっていることが多いです。
特に学校で配布される副教材の問題集は、授業で学習した内容に近いレベルの問題から収録されていますので、学習したその日のうちに復習するのに適した内容になってます。
すなわち、基本レベルをマスターすることで、レベルアップした問題を解くための準備をすることになるのです。
ただ、何らかの理由で学校の副教材の問題集が使えない場合(特に解答・解説が配布されない場合)には、
で問題を解くといいでしょう。
学校の副教材を活用する場合には、「らくらくマスター物理基礎・物理」は不要です。
学校の副教材の問題が解けるようになったなら、次のレベルにステップアップします。
ただし、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は物理基礎、物理分野が合わさった問題集ですので、学校で物理基礎を学習しているときにいきなり「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」の問題を解くのは難しく感じるかもしれません。
難しくて手も足も出ないと感じたら、学校の副教材の問題集に戻って復習しましょう。
とはいえ、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は物理基礎を学習しているときにも有効に活用できる問題集です。
学校で物理が始まったらすぐに用意した方がいい問題集ですので、早めに準備しておきましょう(使うのは少し後になりますが・・・)。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」の使い方は、後ほど紹介しますね。
漆原系問題集の場合は、物理のエッセンスの代わりに
を使います。
ただし、セミナー物理等の学校の副教材の問題と似ている問題が見られますので、詳しい解法を知りたいなどといった参考書的な使い方をしてもよいでしょう。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」の使い方(高校1,2年生向け)
Amazon.co.jpのレビューでも「初学者向けではない」という批判的な評価があります。
これは教科書で学習した後、すぐに「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」で演習しようとすることから発生する問題です。
実は、教科書で学習し終えた後の演習は、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」ではなく、学校で配布されている副教材の問題集で学習します。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は、物理基礎・物理分野が融合された状態で掲載されています。
また、掲載されている問題も基本レベルもありますが、入試レベルの問題も収録されています(特に*以上がついている問題)。
そのため、学校で学習したばかりのときに、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」の問題を解こうとしても、かなり難しく感じることでしょう。
しかし、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は物理を学習し始めたら、すぐに手元に置いておくことをおすすめします。
というのも、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は
- 解説
- 解法手順の提示と解説
- 例題と解説
- 演習問題
の4部構成になっていて、解説と要点がうまくまとまっているので、復習するのに便利です。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」の導入部分の解説は、すっきりとしているけれども要点を押さえている点が魅力です。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」の冒頭に
1・2&8・9・10?
妙な表示だなと思ったことでしょう。もちろんこの本の性格を表しているのです。私が最も書きたかったこと、それは教科書に書かれていないけれども大切なことです。数値が増すにしたがって基本から応用へ進むと思って下さい。教科書にはいわば3~7のことが書かれています。
物理のエッセンス(河合塾シリーズ)四訂版 河合出版 冒頭より引用
また、解説が詳しい分、自分がどこでつまづいていたかも気がつきやすい点でも勉強しやすい問題集と言えるでしょう。
いきなり問題を解くのは難しいと書いたにもかかわらず、物理の勉強が始まったら手元に置くことを進めた理由は、教科書から抜け落ちている1、2の部分を「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」で学んでほしいと思ったからです。
物理基礎と物理の二つの教科書の分野が合わさっていますので、物理基礎を学習しているときには、あまり役立たないと思っているかもしれません。
問題数は多くありませんが、その分解説が詳しくなっています。
どういう現象が起こっているのか、どういう指針で答えを導き出せばいいのかという部分を理解するのには一番手頃な問題集です。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は、学校の副教材の問題集との組み合わせで、理解が深まる仕組みになっています。
問題集のロードマップ
教科書→物理のエッセンス(導入)
↓
教科書の演習問題 or 学校副教材の問題集(教科書レベルの問題)
↓
物理のエッセンス(問題)のできる部分
↓
学校副教材の問題集のできる部分(入試問題レベルより前の部分)
物理の基本を固める時のロードマップの例です。教科書で学習した内容を「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」(導入)部分を読み、整理します。
その後、教科書レベルの問題を教科書の演習問題か学校副教材の問題集で教科書レベルを埋めていきます。
「物理のエッセンス(河合塾シリーズ):で問題を解く流れを理解し、最後に演習として学校副教材の問題集で残りの問題(のぞく入試問題レベルの問題)をこなすという流れになります。
基本のレベルはこの2つをうまく組み合わせることで十分対応できます。
入試基礎から多くの大学入試問題レベルまでを固める問題集
入試基礎レベルの問題集
もし学校の副教材の問題集で、入試問題が掲載されているようでしたら、まずはそれを解いてみてください。
どの問題集をやるべきかの判断材料になるからです。
セミナー物理(第一学習社)の場合、発展例題から発展問題・総合問題あたりになります。
もし問題が全く解けない、もしくはどのように式を立てて解いたらいいのか分からない場合には、
- 学校の副教材の問題集
- 物理のエッセンス(河合塾シリーズ)
に戻って、該当分野を復習します。
もし問題を解いてみて、ある程度解けて、解説も理解できるようであれば、そのまま続けても大丈夫です。
ただ、もう少し洗練された問題を解きたいと思ったり、入試問題レベルの問題が掲載されていない問題集を使っている場合には、
で、入試基礎レベルを固めます。
「良問の森物理(河合塾シリーズ)」は、よく出てオーソドックスな入試問題を中心に収録されています。
この問題集の最大の特徴は、入試問題をそのまま掲載しているのではなく、学習しやすいように
あえて手を加えることにより、最大の学習効果が望めるもの
にしている点です。
問題数は全ての分野を合わせても148問+論述問題45問と少ないのですが、入試で最低限必要な要素が全て含まれています。
レビューには、「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」と「名門の森物理(河合塾シリーズ)」の中間に当たり、中途半端な問題集と書かれているものがあります。
「名門の森物理(河合塾シリーズ)」は標準問題からやや難レベルの問題です。
いきなりやや難レベルの問題をやるのは難しすぎ、けれども「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」は易しい。
難しい問題や易しい問題ばかり解いても、力はつきません。
そのようなときに「良問の森物理(河合塾シリーズ)」で演習するのです。
特に高校1年生や2年生の冬休み前ぐらいまでに入試基礎レベルまでの学習をしたいと思ったときにやるには、もっとも効果的です。
やや難レベルの問題が解けるようになるための、ステップアップとして「良問の森物理(河合塾シリーズ)」の演習をおすすめします。
この「良問の風物理(河合塾シリーズ)」で入試の基礎をしっかりと固めます。
ただ、「良問の風物理(河合塾シリーズ)」をやってみて、簡単と思えるようでしたら、途中でやめて、下の問題集にステップアップしても大丈夫です。
大部分の入試問題レベルをカバーする問題集
物理の場合、難関校と呼ばれる大学は除いて、同じような問題が出題されます。
どこまで問題文で誘導設問が書かれているかという違いだけの場合もあります。
誘導設問が少ないために、いきなり見ると戸惑ってしまうこともあるでしょう。
そこで、
入試に頻出の問題に対応できるように編集された問題が収録されています。
解説は物理の基本問題が解けていることを前提に書かれていますので、解説を読んでもわからない場合には、「良問の風物理(河合塾シリーズ)」や「物理のエッセンス(河合塾シリーズ)」に戻って力をつけます。
「名門の森物理(河合塾シリーズ)」は、大部分の大学の物理2次試験レベルに対応できる内容となっていますので、難関大学を受験しないのであれば、「名門の森物理(河合塾シリーズ)」までで十分です。
高校3年生に入ってから夏休みでの演習として使うレベルになります。
最難関大学を受験する場合には、「名門の森物理(河合塾シリーズ)」でも問題の解く力をつけることができます。
漆原系の場合は、
こちらの問題集が名門の森に対応する問題集です。
上記の問題集をこなすことで、難関系の大学入試問題(一分野出題)まではほぼ対応できます。
しかし、最難関の大学を受験する場合、問題慣れするためにも以下の問題集も少しやっておくと安心です。
最難関大学対策の問題集
「名門の森物理(河合塾シリーズ)」もしくは「漆原の物理(物理基礎・物理)最強の99題」まで仕上がっていれば、大部分の大学の入試問題レベルにまで仕上がっている状態です。
しかし最難関大学の入試問題では、問題文が非常に長く、理解するのに時間がかかる場合があります。
物理の問題を解く力はついているのですが、長文に慣れていないと、本番で焦ってしまい、本来の実力を発揮することはできません。
そこで、そのような長文に対応できるように以下の問題集で演習します。
難問題の系統とその解き方 新装第3版は、力学・熱・波動版と電磁気・原子の2冊分冊になっています。
旧版との違いは、文字の大きさが前の版よりも大きくなった点と演習問題の解答が別冊になった点です。
確認した限りでは、旧版との問題の差異は見つけられませんでした。
旧版を購入して使っている君は、そのまま使っても問題ありません。
以下は使い方です。
問題数はありますが、演習問題は解答が略解レベルしかないので、収録されている問題のレベルに慣れていないと、かなり苦戦するかもしれません。
また、時間の関係で全部こなすのは難しいかもしれません。
そこで、解説の多い「例題」のみを演習します。
例題を徹底的に演習するだけでも、かなりの力がつきます。
演習問題については、よほど時間に余裕がある場合を除いて、無理にやる必要はありません。
演習問題を無理して行うよりは、志望大学の過去問を解く形をとり、志望校の出題傾向に慣れておきましょう。
漆原シリーズの場合は、以下の問題集になります。
1問ごとの問題の解説は、ポイントがまとめてあったり、問題解法のステップが書いてあったりなど、かなり詳しくなっております。
しかし、問題数が少ないので、演習の量としては少ないかもしれません。
そのため、「難関大入試 漆原晃の 物理[物理基礎・物理]解法研究」ではなく、「難問題の系統とその解き方」をこなした方がよいかもしれません。
どちらがよいかを決めるには、この問題集を始める際の受験までの残り時間を見て、こなす余裕があるようでしたら「難問題の系統とそのとき方」、時間があまりとれないようでしたら、「難関大入試 漆原晃の 物理[物理基礎・物理]解法研究」と選ぶとよいと思います。
実践物理重要問題集-物理基礎・物理(数研出版)について
今回、あえて「物理の重要問題集 -物理基礎・物理(数研出版)」をおすすめから外しました。
演習問題の内容も価値のある問題が多いのにです。
君の周りの人が「物理の重要問題集」を推薦するかもしれません。
しかし、アストロ部では推薦するのをやめることにしました。
というのは、「実践物理重要問題集 -物理基礎・物理(数研出版)」が良問が収録されているにもかかわらず、手を出しづらい理由があるからです。
は毎年改訂されて出版されます。
これは、物理の入試問題の傾向が少しずつ変わっていくことに対応するためです。
この傾向を分析し、内容を少しずつ変えているのはいいのですが、問題は最新版が出版されるのが11月であることです。
11月と言えば、共通試験や入試本番に向けて演習をしていたり、まとめに入る頃でもあります。
そのタイミングで新たな問題集に手を出しても全てをこなしきるは難しいのです。
中途半端になってしまうのであれば、手を出さない方がよいのです。
そのため、おすすめの問題集に掲載しませんでした。
ただし、夏休み前までに「難問題の系統とその解き方物理(ニュートンプレス)」以外の問題集が仕上がっているようであれば、前年版を購入して、夏休みに演習するのはOKです。
このような理由で、問題集としての「実践物理重要問題集 -物理基礎・物理(数研出版)」はおすすめしていませんが、何からの理由で持っている場合には、別冊の「入試直前の最終確認」を活用してもいいでしょう。
別冊の「入試直前の最終確認」は、問題を解くための
- 最低限の確認事項
- おもな物理公式
- 単位と次元
- 様々なグラフ
- 三角形と円
- 三角関数
- 主な数学公式
- 近似式
- 有効数字
- ルートを開くために
という概要がついています。
入試本番直前に見るにはちょうどいい分量ですので、この別冊だけ持っていてもいいかなと思います。
学校で配られた、もしくは買ってしまったという君は、この別冊だけは活用してもいいですね。
思考力・判断力・表現力を問う問題や小論文が頻出する大学の入試対策
物理は現象を理解して、そこで何が起こっているかを観察し、その結果がどうなるかというのを考える学問です。
そのため、近年は「思考力・判断力・表現力」を問う問題が出題されることもあります。
「良問の風物理(河合塾シリーズ)」にも論述問題がありますが、演習問題としては少し足りません。
そこで、このような「思考力・判断力・表現力」に関する部分をカバーするための問題を解く必要がでてきます。
それが
です。
この問題集は、実際に出題された入試問題の中から、思考力・判断力・表現力を養うのに最適な問題を精選したものになっています。
解説も問題の回答があるだけでなく、問題を読むポイントや思考の過程も掲載されているので、どのように考え、解いたらいいかがわかるようになっています。
さらに、解答の指針(ヒント)を掲載したWebページや一部の問題には実験の動画もあったりします。
また、解答用紙冊子もあるので、入試本番を意識しながら学習することができます。
問題数は30題とやや少ない印象がありますが、物理基礎・物理の全範囲が含まれていますから、十分な量といえるでしょう。
また、小論文対策は上記の「思考力・判断力・表現力を養う実戦物理考察問題集」や
の物理分野が参考になります。
どのような感じで出題されるか、どのくらい時間がかかるかの感触をつかむために行います。
まとめ
基本の問題集から最難関大学対策の問題集まで紹介しました。
難しい問題集にチャレンジすることも大切ですが、自分のレベルに合わない問題集で演習をしていても、物理は伸びません。
自分のレベルにあった問題集で演習をするからこそ、物理が解けるようになっていくのです。
少し難しいと感じたら、1つレベルを落として、理解してから再度チャレンジすると、物理はぐっと伸びますよ!
高校物理の参考書の解説についてはこちら