赤い雨に生命体があった! 極限環境での生物は生きられる?

雨は空気中にある水滴が降ってきたものです。

空気中の水滴は、ちりや微粒子(エアロゾル粒子)のまわりに水蒸気があつまって、水滴になります。

そのため、その中にはいろんなものが含まれています。

したがって、水蒸気ができるときのちりや微粒子の種類によって、雨に色がつくこともあります。

 

例えば、黄色い雨は砂漠の砂が含まれていることが知られています。

また黒い雨は、火山灰など黒っぽいものが雨に含まれているために黒くなるのです。

このように雨の色は、雨の中に含まれている物質によって決まります。

 

 

ところが、2012年スリランカで赤い雨が降りました。

過去の記録を調べてみると、2001年にもインド南部のケーララ州でも赤い雨が降っていまいた。

スリランカの赤い雨には赤い粒子が含まれていました。

この赤い粒子を詳しく調べてみると、自然界に存在する生物細胞と同じ構造を持っていたのです。

 

難しかったDNAの抽出に成功し、赤い雨に含まれていた生物細胞はシアノバクテリアの類いの原核生物であることが判明しました。

私たち人類に限らず多くの生命は、空気がないと生きていけません。

しかし、空気の非常に薄い空間から生物が降ってくるとは一体どういうことでしょうか?

 

  • 地球外の生物が地球に到着した?
  • 地球の生物が非常に高いところまで何らかの理由で飛ばされて降ってきた?

 

地球外生命の証拠も、生物が宇宙空間まで飛ばされるとした確実な証拠はまだ見つかっていませんが、空から降ってきたということは事実です。

(なお、今までで最も高いところで見つかった微生物は高度58kmです)。

 

 

しかし1つの疑問がでてきます。

宇宙空間で生命が生き続けることができるのかという問題です。

生物にとっての大敵は紫外線(宇宙線)です。

紫外線(宇宙線)を浴びると、細胞が破壊されてしまい、生命活動ができなくなってしまうからです。

 

 

そこで、2015年から国際宇宙ステーション(ISS)のきぼう実験棟で、東京薬科大学や宇宙虚空研究開発機構など国内の26機関が参加するたんぽぽ計画(代表:東京薬科大学:山岸明彦先生(注釈 山岸明彦先生は、2018年3月で東京薬科大学を定年退職されます。))が進められました。

この実験は

 

  1. 宇宙空間にただよる小さなちりを採取し、その中に微生物や生命の材料になる有機物が含まれていないかどうかを調査
  2. 地球の微生物の入った容器を宇宙空間にさらし、どのようになるかの調査

 

を行うものです。

宇宙空間に1年間さらして戻ってきた微生物を地球上に持ち帰って培養したところ、なんと増えていったのです。

つまり、生きていたことが分かったのです。

条件によっては宇宙空間でも生命が生きられる可能性があるということなのです。

 

 

ここで問題になってくるのが、生命はどうやって誕生したのかということです。

現在のところ、はっきりとした答えは出ていませんが、

 

  • 地球上で誕生したという説、
  • 地球外で誕生した生命が地球上に到着して進化したという説

 

があります。

 

生命の起源に関する学問の一つに宇宙生物学という分野があります。

まだ新しい学問であるため定義が定まっておりませんが、広い意味で使われる場合には、次のような課題を取り組む学問です。

 

  1. 生命の起源と進化
  2. 地球外生命の探査や地球外文明との交信
  3. 地球生物の地球外への移住(狭義の場合は、こちらのみ)

 

土星探査機カッシーニが土星本体に突入してその役目を終えたのも、衛星エンケラドスに液体の水が見つかったからです。

さらに木星の衛星エウロパにも液体の水が存在する可能性が出てきました。

探査機ガリレイがエウロパのそばに通過したときに、水蒸気の中を通ったことはほぼ確実であると言われています。

 

 

水があると有機物が作りやすい状態であるため、複雑な分子が形成されやすくなります。

すなわち、生命が誕生しやすい状態であると言えます。

 

現在エウロパに関しては2020年代に探査計画が持ち上がっています。

2017年現在、地球以外のところで、生命は発見されていませんが、もしかしたら生命が見つかるかもしれません。

 

 

近年の研究の進化により、天体の運動や天体の進化といったいわゆる天文学という分野とは全く違う生物学やその他の学問からのアプローチも宇宙に関連した勉強や研究ができるようになりました。

生物からのアプローチの場合、極限環境生物学が近いですね。

宇宙との関わりが密接になってきてから日が浅いので、宇宙と密接に結びついた研究ができる大学はあまり多くないかもしれません。

 

 

アストロ部でも調査をしていますが、手作業であるためあまり見つけられていません。

2017年11月現在では、たんぽぽ計画の中心的な役割を担っている東京薬科大学の生命科学部応用生命科学科で研究しているという案内がでています(生命初期進化の研究の「大気圏微生物の研究」)。

研究が進むにつれて他の大学でも宇宙空間という極限環境生物の研究を行う大学も出てくるかもしれません。

アストロ部でも情報を入手し次第、掲載いたします。

今後、生物方面での研究も宇宙と密接に関わってくることでしょう。

※追伸
シリーズ現代の天文学シリーズに「アストロバイオロジー」が追加される話が持ち上がっているようです。

まだ確定ではありませんが、今後、生物方面からのアプローチも天文学に深く関わってきそうですね。