アルマ望遠鏡の威力。成果をやさしく書いた本を紹介します。

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アルマ望遠鏡が稼働して、次々と新しい発見がなされています。

2014年11月5日の発表で、おうし座HL星のまわりの円盤を捉えた画像が公開されました。

 

今まで惑星形成の現場を捉えることは非常に困難でした。

遠方にある暗いガスをはっきりと捉えるのは性能的に難しかったからです。

それまでは、原始星のまわりにガスがあるということぐらいしかわかりませんでした。

それがアルマの観測で、はっきりと溝が刻まれていることがわかったからです。

 

 

ちなみに、この画像の溝の全てに惑星があるとは限らないことに注意してください。

 

例えば、どこかに大きな惑星が1つあれば、その影響で、ある領域にガスやちりがなくなりやすくなる領域ができるからです。

太陽系でも、火星と木星にある小惑星帯と呼ばれる領域でも、小惑星がたくさん集まっている領域とほとんどない領域があります。

例として木星の公転周期の半分でまわるような領域には小惑星はほとんどありません。

 

これと同じ現象が起こっている可能性も考えられるからです。

 

この溝には惑星が存在するかどうかは、遠い将来おうし座HL星の惑星が発見されたときに解明できるかもしれません。

今回は、このアルマの成果と、そこからわかる宇宙のこと、そして観測からわかった新たな謎について書かれた書籍を紹介します。

 

 

アルマ望遠鏡は、日本を含む22の国と地域が協力して運用する電波望遠鏡です。

望遠鏡のメッカとして知られるハワイもありますが、電波で観測するときに問題になるのが空気中に含まれる水と空気です。

 

そのため、できる限り高いところでしかも乾燥しているところでの設置が望ましいのです。

その建設地として選ばれたのが南米チリのアタカマです。

標高5,000mの高地に電波望遠鏡が設置されています。

 

ただし、データを解析するコンピューターなどはあまり標高が高いと障害の発生確率が高くなることから、標高の低いところに別途設置されています。

 

 

このアルマ望遠鏡は、

 

  • 宇宙の初期:遠方の銀河の観測
  • 惑星形成の現場の観測
  • 地球外生命の可能性を探るべく宇宙の有機分子の観測
  • 宇宙構造や銀河構造の観測

 

などといった観測を行うことで、それまでは理論で推測するしかなかったことが、観測によって明らかにするという使命をもっています。

 

アルマ望遠鏡にはさまざまな工夫がなされています。

一つの望遠鏡だと、重さな大きさの関係からつくれる大きさには限界がでてきます。

 

そこで、いくつもの小さな電波望遠鏡(といってもひとつが12mもあるものですが・・・)をあちこちに配置し、あたかもひとつの大きな電波望遠鏡にして観測しているのです。

もちろん、それぞれの望遠鏡にも観測の際に問題になる大気の揺らぎなどの影響を軽減するようにしています。

こうして、アルマ望遠鏡は今までにない解像度で宇宙を観測することができるようになったのです。

 

 

しかし、アンテナの数を増やすということは、それだけ多くのデータが集まるということです。

すなわち、たくさんのデータを素早く処理できる能力を持つコンピューターも必要になります。

このコンピューターは、相関器と呼ばれる日本が開発したスーパーコンピューターで処理しています。

アルマ望遠鏡は、電波望遠鏡そのものに注目されがちですが、こういった縁の下の力持ちもあるからこそ、威力が発揮できるのです。

 

 

しかし、アルマ望遠鏡は電波望遠鏡です。

そのため、ヴィジュアル的にはあまり受けがいいものではありません。

観測結果だけをみても、始めて見る人にとっては「?」というような画像やグラフがほとんどなのです。

 

もちろん、この画像やデータにどのような意味があるというのを分かった上で見ると、

 

「おお、なるほど!」

 

と思えるのですが・・・。

色彩豊かでないので、「あれ?」となるわけです。

 

宇宙のイメージを決定づけているのは、おそらくハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真集です。

 

赤青白・・・。

たくさんの色があって、しかも宇宙空間にある望遠鏡ですから、鮮明にくっきりと見える写真はだれもが一度は見たことがあるでしょう。

 

 

でも、アルマ望遠鏡で観測された結果は、宇宙の研究をする上では、この写真に負けないぐらいの情報を提供しているのです。

 

  • 惑星形成の現場はどうなっていたか?
  • 宇宙の初期はどうなっていたか?

 

などなど。

 

そんなアルマ望遠鏡の成果についてやさしく書かれた書籍がこちら。

 

 

スーパー望遠鏡「アルマ」が見た宇宙
福井康雄編著

日本評論社 2016年

 

 

です。

 

この本では、アルマを使った観測から

 

  • 宇宙論・銀河
  • 巨大星の誕生
  • 原始惑星系円盤
  • 物質の進化

 

の観測とそこからわかること、そして観測からわかった新たな謎(執筆時点)について書かれています。

 

宇宙の謎を解明しようとして、大きな望遠鏡をつくったり、宇宙に打ち上げたりして、徐々に解明しつつあります。

 

アルマがどんな問題に挑んでいて、どんな問題を解決してきたのか、そして、アルマの観測が突きつけた新たな謎について、知りたいときに読んでみてはいかがでしょうか?