物理ができない原因として、問題に書かれている現象のイメージができないという理由が挙げられます。
他の理科の教科はある程度暗記をすれば点数がとれてしまいます。
けれども、物理に関しては暗記をしても語句を答える問題でない限り、それが通用しません。
パターンは同じでも問題ごとに設定が微妙に違うので、
「公式を丸暗記をしてもどれを使ったらいいかわからない」
という事態に陥りがちです。
そして、物理の勉強方法がわからなくなり、物理が苦手科目になるということに・・・。
このパターンに陥るのは、実はトレーニングをしていないことが原因です。
物理ができる人は、意識的に行っているか、無意識のうちに行っているかは別として、必ずトレーニングをしているはずです。
人間、何かできるようになるためには、必ずトレーニングが必要だからです。
もし、トレーニングをしてないと言っている人がいたら、それは無意識のうちにトレーニングをしているからだと思って間違いありません。
物理はイメージできれば、もしくは図が描ければ問題の半分は解けたも同然という話を耳にします。
実際、イメージできれば問題を解くのが非常に楽になります。
しかし、問題を読んでなんとなくわかっても、いざ図を描こうとすると描くことができない経験はありませんか?
もしくは、イメージが湧かない経験はありませんか?
もしこのような経験がありましたら、それはトレーニング不足が原因です。
図が描けるようになるためや、イメージが湧くようになるためには、実はトレーニングが必要なのです。
トレーニングなしでは、絶対に図が描けるようになりませんし、ましてやイメージが湧くようなことはありません。
今、ひらがなを不自由なく書くことができるのは、小さいときから何度も何度も練習して、書き続けたからです。
二次方程式を解くことができるようになるもの、因数分解ができるようになるのも、全てトレーニングをしてきたからです。
図を描くのも、イメージが湧くためにもトレーニングが必要です。
では、どのようにしてトレーニングをするのか?
一番最初のトレーニングは、以下の図です。
最初に紙に描いてください。
(1)質量 \(m\) の物体が滑らかな床に静止しています。この物体に働く力を全て書いてください。ここで、重力加速度は \(g\) とします。
いつも問題を解く時に書いていると思うかもしれませんが、この基本がとっても大切なのです。
紙に描いたら、今度は頭の中でこの物体に働く力を描いてみてください。
もしイメージが湧かないようでしたら、紙に書いたものを見てから、もう一度頭の中で描いてみてください。
紙に描いたのと同じものが頭の中で描けたらOKです。
(2)次に左から力 \(F\) でこの物体を押したところ、物体が動きました。
動き出した時の物体の位置を描いてください。
動き出した時の物体の位置は以下の図のようになります。
今は図を紙の上に描きました。
今度は、力 \(F\) で押した直後から物体が動いた位置までの一連の流れを頭の中で描きます。
もし、頭の中でイメージできなかったから、物体が上にある二つの図を見て、もう一度頭の中で物体を押してみてください。
始めの終わりは図にしてあるので、途中経過を頭の中でイメージしてみてください。
最初はうまくイメージが作れなくてもOKです。
何度も頭の中で物体を押した直後の状態から物体が動いた位置までの一連の流れを頭の中でイメージしていきます。
始めと終わりの間を埋める感じです。
頭の中でイメージできるようになったら完了です。
問題自体は、物理を習いたての頃にやっているものです。
ただこの問題をやるころは、数式に当てはめればできてしまう問題(鉛直投げ上げ、投げ下ろしなど)が多いです。
そう意識しなくても点数がとれてしまうところです。
もう少し難しい問題が出てからトレーニングしようと思っても、今度は複雑すぎてイメージはおろか、図を描けなくなってしまい、点数がとれない事態に陥ります。
かんたんな問題のうちからトレーニングをすることで、難しい問題が出ても図や頭の中で状態が描けるようになってきます。
トレーニングは、
- 紙の上で物体に働く力を全て描く。
- 1で描いた力と同じものを頭の中でも描く。
- 物体に力が働いたとき、物体が動いた後の状態を紙に描く。
- 3で描いた動きを頭の中でも動かしてみる。
という4つのステップを踏んでいきます。
少しずつ、このステップのトレーニングを続けることで、頭のイメージも鍛えられるので、図が描けるようになり、また頭の中でイメージできるようになります。
もし図が描けない、もしくは頭の中でイメージができないと思いましたら、このトレーニングをしてみてください。
ある日突然、図が描けるようになり、頭の中でイメージできる日が来ますよ。
(トレーニングをやったからといって、すぐに成果が出るとは限らず、ある程度やって臨界点を超えると初めてできるようになるようです。)