ここを見ている君は、宇宙を学べる大学を目指していると思います。
実は一口に「宇宙」といっても、「宇宙」というキーワードはとてつもなく大きなキーワードです。
宇宙のキーワードがでてくるのは、天文学、惑星科学、宇宙論だけではありません。
たくさんのキーワードがあるのです。
ここでは高校生の君に知ってほしい7分類についてお話しします。
宇宙の初期と密接に関わりのある分野は?
宇宙の初期を知るためには、素粒子物理学の力を借りることになります。
力はもともと一つだった物が相転移を起こして現在の四つの力、重力・電磁力・弱い力・強い力に分かれたという理論です。
この力が一つだった時期は、ちょうど宇宙が生まれた直後の出来事と一致しています。
宇宙初期を語るときには、素粒子物理学の力が必要であることがわかります。
さらに、超新星爆発で元素が生成され、素粒子が飛び散る・・・。
有名な例は、小柴昌俊先生のノーベル賞受賞の理由になった超新星1987Aの「ニュートリノ」検出。
ニュートリノそのものは、素粒子物理学の範囲ですが、検出された事象は天文学の超新星爆発。
素粒子について調べることも宇宙を調べることになるのです。
新造語?!「アストロバイオロジー」
私たち地球以外に生命がいる可能性があるということから、生物学からのアプローチ、アストロバイオロジーも出てきました。
生命はいつどのようにして生まれたのかという問題と結びついているのです。
2018年現在、系外惑星で地球に似た環境を持つ惑星を捜索したり、太陽系の衛星(ガニメデ等)の探査計画したりと・・・。
大きく動いています。
探査機なくして、宇宙は語れません!
衛星の探査をするためには、探査機が必要となります。
それにロケットも・・・。
宇宙空間は空気がありませんので、空気を後ろに押し出して進む航空機は使えません。
酸素のない、持って行ける燃料が限られる宇宙空間で、どのようにして飛ばすかについても考えなければならないのです。
2018年6月末に、小惑星リュウグウに「はやぶさ2」が到着しましたね。
どのような探査機を作れば探査の目標が達成でき、どのようなロケットで宇宙空間に持って行くことができるかを考える必要がでてきます。
日本ではロケットはまだまだ使い捨てのため、1回に打ち上げるコストが非常に高くなっています。
アメリカでは既に実用化されていますが、再利用できるロケットがあれば打ち上げにかかる費用も抑えられます。
再利用できるロケットの研究も今日本でも行われています。
このように工学分野もまた、宇宙に含まれるのです。
天文分野って理系だけじゃないの?
また、天文学は理系の分野だと言われていますが、実は文系の分野もあるのです。
アストロ部では、天文学を学ぶのに物理は重要であるとことあるごとにお話しさせていただいています。
それなのに、文系の分野もあるなんて?!
びっくりしました?
文系の方でもチャレンジできるのが、「天文考古学」という分野です。
有名なのが、Stone-hengeなどの文字記録のない遺物で天文に関係すると思われるものを研究する「考古天文学」。
そして、明月記などで有名なかに星雲の超新星爆発に代表される、文字で記された天文記録を研究する「歴史天文学」。
などがあります。
この歴史的事実と、現在の観測とシミュレーションをすりあわせることで、書いてある内容の真偽が確認できますし、逆に現在観測されている内容の検証にもなるのです。
先ほども出てきた「かに星雲」。
これは明月記などに客星の記載があります。
さらに現在の星雲の広がり具合を観測し、ここから逆算すると、この記載の頃と同時期に爆発したと考えられることがわかったのでした。
つまり、文献の記録と計算がピタリと一致したのです。
これはすごいことです。
なにしろ、超新星爆発のあとに星雲ができるのがわかったのですから・・・。
超新星爆発が銀河内で起こるのはめったにありません。
このような過去の記録を調べることも重要なのです。
このほかにも、文学に出てくる天文現象等の考察や、宇宙に作品を打ち上げるという芸術系もあります。
研究するだけじゃない。教えることも天文系。
宇宙について子どもたちに教えたいのであれば、教育系があります。
天文教育と言われる分野です。
教育学部は、卒業の要件の一つに教員免許を取得することが求められていることが多いので、教師になる学部だと思われがちです。
君は、博物館やプラネタリウムに行ったことはありませんか?
そこで宇宙についての解説をしているのを聞いたこと、ありませんか?
人にものを教えるというのは、意外に難しいのです。
映画
「はやぶさ/HAYABUSA 竹内結子 (出演), 西田敏行 (出演), 堤 幸彦 (監督)」
では、主人公の女性が解説をしようとしていますが、うまく伝わらず悪戦苦闘している場面が描かれています。
自分で理解することと、それを他人が理解できるように伝えることとは、同じではないのです。
「伝える」という視点に重点を置くのであれば、教育系の選択肢も出てくるのです。
観光だって天文分野!
近年、このようなキャッチコピーを聞いたことはありませんか?
「長野県は、宇宙県」
「鳥取県は、星取県」
宇宙という素材を使って、観光や地域活性化の手段の一つするというものです。
観光プロデュースです。
これも宇宙に関わる方法の一つですね。
こういった観光や地域活性化など、宇宙を素材にして何かやってみたいという時には、観光学部などの学部で学ぶのもありですね。
また、天文学の研究はコンピューターを使うことが多いので、情報系の学部でも卒業研究で宇宙を学べることができるようになりました。
高校生の君に知ってほしい7分類
このように、大学で宇宙を学ぶコース(大分類)は7つあります。
- 理学系(宇宙物理、惑星科学)
- 工学系(ロケット、人工衛星)
- 教育系(天文教育)
- 生物系(アストロバイオロジー)
- 天文考古学
- 芸術系、文学系
- その他(将来は別のことをやりたいが、卒業研究で宇宙をやりたい)
君はどの分類に進みたいですか?
アストロ部では独自に調査をして、宇宙を学べる大学を作成いたしました。
分野は、理学系・工学系・教育系・その他を掲載しています。
このデータが高校生の君の進路のお役に立つことを願っています。