2018年2月27日(火)午後1時34分00秒、H-IIAロケット38号機打ち上げ。
2018年6月12日(火)午後1時20分00秒、H-IIAロケット39号機打ち上げ。
2018年9月11日(火)午前7時32分頃、H-IIBロケット7号機打ち上げ予定。
日本のロケットも年数回の割合で、宇宙に人工衛星や補給機などを打ち上げています。
現在活躍しているH-IIAロケット、H-IIBロケットは、2001年の試験機1号機の打ち上げ以降、6号機をのぞいて、39号機まで打ち上げが成功しています。
全打ち上げ成功率は、97.4%です。
ただし、ロケット製造から発射までの全プロセスがJAXAの体制下で行われている打ち上げは7号機からで、ここから1度も失敗していないことを考えると、非常に安定したロケットとも言えます。
(JAXA設立は2003年10月1日)
人工衛星ってわかっているようでいて、わからないことだらけ。
日本では、先に挙げた液体燃料ロケットのHIIシリーズや、固体燃料ロケットのイプシロンがあります。
これらを使って人工衛星を打ち上げています。
打ち上げになると、なんらかしらの形でニュースになるので、ロケットに親しみを覚えているかもしれません。
ガチャガチャにもでてきますね。
ロケットで打ち上げられるのは、ある目的を持った人工衛星です。
打ち上げに成功すると、打ち上げられた人工衛星の目的や機能についての説明がなされます。
「でも、人工衛星ってどんなものなの?」
博物館やJAXAの展示室には、はやぶさなどの人工衛星の模型は飾られていますが、どういう仕組みかという部分を考えると、
「あれ? どうしてだろう?」
ということが多い気がしませんか?
例えば、
- 人工衛星は決まった時間の範囲内に打ち上げなければならない
- ロケットを打ち上げる向きがあること
- 人工衛星の製造方法
などなど
今回は、人工衛星の「なぜ?」という素朴な疑問に答える書籍を紹介します。
「ひまわり」と「みちびき」
「南海上で台風が発生いたしました。台風の中心気圧は・・・」
というアナウンスともに映し出されるのが、気象衛星ひまわりから撮影された衛星画像。
地図は構成されていますが、雲は紛れもなく気象衛星ひまわりから撮影されたものです。
また、車のナビに搭載されてるGPS機能。これも上空の人工衛星なしにはできません。
このように人工衛星は私たちの日常に溶け込んでいるのです。
気象衛星ひまわりは、赤道の上空約36,000kmのところをまわっています。
この高さであれば、約24時間で1周するため、地上から見るといつも同じ位置にいるように見えるのです。
この軌道のことを静止軌道と呼びます。
また、この軌道上にある人工衛星を特に静止衛星と呼んでいます。
さらに、位置情報を提供するための人工衛星として、日本では「みきびき」があります。
GPSと一体運用可能な人工衛星です。
人工衛星で「みちびき」を調べると、「みちびき」の後ろに括弧書きで「準天頂衛星システム」と書かれています。
天頂ということは、「みちびき」が日本の上空(真上に近いあたり)にあるイメージです。
しかし、日本の上空で常に天頂にあるような軌道を描く人工衛星の軌道はありません。
それなのに、どうして天頂付近にいることができるのか?
実は「みちびき」は2018年現在4機体制での運用されているのです。
このうち3号機は静止軌道にありますが、残りの3機は、軌道傾斜角45度(つまり、斜めに傾いた軌道)、離心率0.099(火星の離心率0.0934よりも若干大きいぐらい)、軌道周期23時間56分の軌道上にあります。
3機がこの軌道上にあり、残りの1機が静止軌道にあることで、4機あるうちの3機は、アジア・オセアニア地域の各地点で見ることができるのです。
ロケットの打ち上げの向きは?
先に挙げた「ひまわり」と「みちびき3号機」は静止軌道です。
それに対し、「みちびき1号機、2号機、4号機」は斜めの軌道です。
実は、ロケットの打ち上げ方向は、静止軌道かまた別の軌道かによって、打ち上げる方向が変わってくるのです。
ロケットの打ち上げの動画を見ると、ロケットそのものを追いかけるので、どの向きに上がったのかわかりづらいものがあります。
みんな東に向かって打ち上げているようなイメージがありますが、それは違います。
「ひまわり」のような静止軌道に載せる場合には東向き、極軌道衛星は南向きに打ち上げるのです。
知っていましたか?
人工衛星について知っているようでいて、「あれ?」と思うことはたくさんあるのです。
人工衛星の疑問はこの本で解決
先ほどは、ロケットの打ち上げる向きについてでしたが、他にも
- 人工衛星がどんなカメラで撮影し、どうやって画像に届けるの?
- 人工衛星はどうやって輸送するの?
などといった疑問が浮かんでくるかもしれません。
こういった謎に答えてくれる本が
人工衛星の”なぜ”を科学する
NEC「人工衛星」プロジェクトチーム著
アーク出版
です。
NECと言えば、航空宇宙分野で日本を支えている企業の一つです。
その人工衛星を作っているところの会社のチームが作成した書籍なのです。
55もの疑問を一つ一つ答えています。
2012年初版の本なので、最新情報についてはやや古いものですが、基本的なものはそうかわりません。
実は人工衛星は最新装置を追うのではなく、信頼性を第一にして設計、製造されているので、機器はあまり進化していません。
なので、ちょっと古いと思っても仕組みはあまり変わりませんので、ご安心を。
「人工衛星の”なぜ”を科学する」には、知らなかった人工衛星の仕組みがわかりやすく書かれています。
人工衛星ってこういう仕組みなんだということがわかる1冊です。
これを読んで、人工衛星に関するJAXAの発表などを聞くと、違いますよ~~。
そうそう、「はやぶさ」の書籍を読むと必ず出てくるスラスタ、リアクションホイール、イオンエンジンについても書かれていますよ。
オススメの1冊です。