近年の研究は、研究室単独での研究よりもいくつかの研究室と共同で研究したり、世界中の研究者が集まって研究することも多くなってきました。
今回は、どのような研究が日本で計画されているかについてのお話しをしますね。
年々大型化する観測装置、実験施設
近年の研究では、大型の研究施設を使った研究が多くなされています。
これは、より遠くのものを詳しく観測したい、より小さいものを仕組みを解明したい、という理由からです。
しかし、大型の観測装置や研究施設などを作るためにはたくさんのお金が必要です。
とても、1研究室の予算でまかなえるものではありません。
そこで、いくつかの研究室が共同で研究を行ったり、さらに大規模な研究施設の場合、文部科学省の「大規模学術フロンティア促進事業」で採用された観測装置や研究施設を作り、共同で利用するという方法が用いられます。
当然ながら予算に限りがありますので、次々と作ることはできません。
さらに観測装置や研究施設などは、宇宙関連分野だけではなく、医学・農学・化学・工学など多岐の分野でも必要とされています。
そのため、たくさんある計画の中でも重点項目や重要項目といった分類をして、観測装置や研究施設などを作ることになるのです。
学術の大型研究計画に関するマスタープラン
日本学術会議では、大型研究計画に関するマスタープランを提言・報告を行っています。
日本学術会議のマスタープランは数年ごとに改定されています。
直近の改定は、2020年です。
下記がその内容が記載されたページです。
このマスタープランに載っている計画が全て実行されるとは限りませんが、少なくても実行される可能性が高い計画であることは間違いありません。
もちろん、マスタープランに載っていないからといって、その研究が全くできなくなるわけではありません。
別の方法で研究することができる場合もあります。
けれども、日本の学術研究の方向性を見るには、この日本学術会議のマスタープランを見るのが一番です。
さまざまな分野からの公募の中から厳選して選んだプランが一度に見ることができるのです。
今後、数年でどのような研究が行われようとしているのかの概要がわかるのです。
数年後といえば、君は大学生か、大学院生になっているかと思います。
ちょうど、どのような研究を行おうかと考えている時期に当たります。
だからこそ、どの大学のどの学部に進学しようかを考える高校生の時期に、このマスタープランを見ていただきたいのです。
いままでの大規模学術フロンティア事業の概要は、以下のPDFで見ることができます。
すばる望遠鏡、アルマ望遠鏡、TMT計画、スーパーカミオカンデ、KAGRAといったものが作られています。
でも一番は研究してみたいと思う気持ち
学術研究の方向性を見るには、マスタープランを見るのが一番です。
けれども、やってみたいと思う研究が学術研究に載っていない内容であったとしても、まずはそのやってみたいと思う研究を目指すのが一番だと思います。
なぜならば、マスタープランはあくまでプランだからです。
今マスタープランに載っていても、数年後には状況が変わって無くなっているかもしれないのです。
マスタープランを見るということは、あくまで今計画されている大型研究を知るための手段なのです。
研究をするための一番の力は、研究したいと思う君の気持ちです。
途中で研究したい内容が変わっても、君の思う気持ちがあれば、続けることができるはずです。
だからこそ、マスタープランにとらわれず、君の思う気持ちを大切にしてくださいね。