宇宙を学ぶには物理は必須です。
宇宙で起こる現象は、物理の法則にしたがって発生しているからです。
恒星の核融合や、光の重力による屈折、近日点移動や惑星の公転運動など、全て物理の法則が関わってきます。
そして、相対性理論から導き出される数値上の想像の産物とされてきたブラックホールや重力波も近年、発見されました。
一方、小さなものに注目すると言えば、素粒子。
でも、ビッグバンと呼ばれる宇宙の始まりに迫る研究は、実は粒子がどのような構成になっているかを調べることと同義なのです。
また大きな構造に注目すると、銀河系や銀河団、宇宙の構造を調べるときも構造と物理現象がでてきます。
このように、宇宙では、地上では観測できないような物理現象がたくさん起こっています。
だからこそ、宇宙を学ぶのに物理が必要なのです。
ところで、高校では理科の科目は物理・科学・生物・地学と4つに分かれます。
物理以外の高校理科の科目は、計算問題もある程度でますが、用語や理由の暗記ができているかどうかで点数がどれだけとれるかが変わってきます。
問題が、用語や理由を書く問題(選択する問題)があるからです。
用語を答える問題の例は次の通りです。
『2018年は探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウに接近します。
地球から小惑星に向かうためには地球の引力圏を脱出しなければなりません。
このように地球の引力圏を脱出して、太陽の周りを回る軌道に打ち上げるときに必要な速度の名称は何ですか?』
答え:第二宇宙速度
しかし、物理は他の教科と違って、暗記というものが通用しません。
先の第二宇宙速度に関する問題は以下のようになります。
『探査機はやぶさが地球の引力圏を脱出して、小惑星リュウグウに向かうのに最低限必要な速度を求めなさい。』
物理の場合、計算過程も採点対象に含まれるところもあるので、答えだけを書いても点数がもらえない場合があります。
問題を解くためには、
- 問題の状況を把握し、
- 何の現象を扱っているかを理解し、
- 求める答えは何かを確認し、
- 答えを求めるために使う物理法則を見つける。
といったプロセスが必要なのです。
問題ごとに状況を判断しなければならないので、暗記だけでは太刀打ちできません。
現象の理解が必要になってきます。
しかし、このことは他の教科をまるで勝手が違います。
暗記よりも現象の理解が必要になる教科は見当たりません。
有機物の名前や生物の分類、地層の名前にしたって暗記で覚えていれば、どうにかなるところですが、物理はそうはいきません。
したがって、物理の授業を始めると、この考え方の違いについて行けず、物理をあきらめる人が必ず出てきます。
考えられる原因の一つに「無意識」であるうちに物理は暗記であると思い込んで、暗記科目と同じように勉強してしまっているところだと推測します。
いくら公式を暗記しても、問題で使えるようになりません。
勘違いで別の公式を適用してしまって、答えが全く違うものが出てきてしまうことさえあるのです。
暗記科目は、暗記した数だけ点数が伸びます。つまり、勉強時間と点数は比例するのです。
しかし、物理は勉強時間をたくさん使っても、それに比例して点数が伸びるとは限らない教科です。
いくらやっても点数が伸びないこともあります。
これは、問題文で起こっている現象を理解した上で、そこに適用させる公式を使って問題を解くという作業に持って行けるかどうかで決まるからです。
人は、この問題はxxだと決めつけてしまうと、それ以外の可能性は見えてこなくなります。
そのxxが適用できる問題であれば解くことができるのですが、そうでないとドツボにはまります。
物理の勉強では、この、問題にxxを適用するという判断をして問題を解く訓練が必要になります。
この訓練をしながら問題を解いていくことで、格段に物理のレベルが上がります。
実は物理は入試で満点を狙える可能性が最も高い教科なのです。
暗記科目は教科書の隅々まで全て覚えても取りこぼしが出てくる可能性があります。
そのため、ある程度の点数まではかんたんに上がりますが、満点を取るのは非常に難しくなります。
一方、物理は公式や用語はある程度覚える必要がありますが、そのあとは問題文に適応できる現象を探して答えを導くといった感じの問題が多いです。
問題をみて解くため、細かい取りこぼしがあってもある程度カバーできるという特色があります。
これは物理が暗記科目ではないため、可能になっているのです。
とっつきにくいけれども、一度理解してしまえば、そのあとはあまり難しくないと感じるはずです。
大変なのは理解するところまで。
理解するのに時間がかかるので、勉強時間と点数が必ずしも比例しないと言ってもいいかもしれません。
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